モデルベース開発（MBD）は、「動く仕様書」と呼ばれるモデルを利用し、設計段階から検証を繰り返しながら開発を進める手法です。
本記事では、モデルベース開発の特徴やプロセス、HILS、MILSをはじめとしたさまざまなシミュレーション環境や手法、メリットを図解します。
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モデルベース開発とは
ここでは、モデルベース開発の特徴やプロセス、シミュレーションをはじめとした手法を解説します。
モデルベース開発とは
モデルベース開発（MBD）は、仕様をモデルを使って表現し、設計段階からシミュレーション環境を活用して検証を繰り返しながら進める開発手法です。
従来型開発では実機を用いて検証を実施するのに対して、モデルベース開発では実機製作前にモデルを用いて行うことができます。
モデルによって設計段階でシミュレーションによる検証を繰り返すことで、下のグラフのように開発のスピードアップや品質向上、実機製作を減らせることによるコスト削減などが期待できます。
【参考記事】モデルベース開発については以下の記事でも詳しく解説しています。
モデルベース開発のプロセスとHILS・MILS等のシミュレーション環境
モデルベース開発のプロセスと、モデルベース開発に用いられるMILS、RCP、SILS、AGC、HILSとの関係は下図の通りです。
●Model In the Loop Simulation
●シミュレーション動作を確認しながら制御モデルの仕様を検討
●Rapid Control Prototyping
●汎用の制御対象に制御モデルをつなぎ、制御設計を最適化
●Software In the Loop Simulation
●ACGで自動生成された制御コードを用い、モデルからコードに置き換えたことによる影響の動作検証を行う
●Automatic Code Generation
●モデルからコードを自動生成する
●Hardware In the Loop Simulation
●実機環境と近い環境でECUソフトウェアを評価
モデルベース開発では、物理システムや制御システムを抽象的に表現するモデルに加え、MILSやHILSなどのシミュレーション環境、ACGなどを活用することで、効率よく開発を進めます。
【参考記事】以下の記事ではHILS、MILS等の手法やメーカーなどを詳しく紹介しています。
モデルベース開発のメリット
従来型開発とモデルベース開発の違いから、モデルベース開発のメリットを紹介します。
モデルにより設計段階からシミュレーション可能
従来型の開発では、仕様書はテキストベースで作成されます。変更の際には、該当箇所をすべて修正する必要があります。
モデルベース開発では、モデルによる「動く仕様書」を作成します。シミュレーションを繰り返しながら設計を進められます。
開発にかかる時間やコストを削減
従来型開発では実機完成後に検証を開始します。不具合が見つかった場合には大幅な手戻りが発生し、時間やコストがかかります。
モデルベース開発では、設計段階でシミュレーションによる検証を繰り返すことで、開発後半からの手戻りのリスクを大幅に減らせます。
共通認識を得やすい
従来型開発では、さまざまな部署・担当間において、テキストベースの仕様書から共通認識を持つことが難しい場合があります。
モデルベース開発では、シミュレーション結果を目で確認できることで共通認識を得やすくなります。
AGCによるコードの自動変換
従来型の開発では、設計完成後のプログラミングは手作業になるため、手間や時間がかかり、ミスも発生しやすいです。
モデルベース開発では、ACGによる自動変換が可能です。人手に頼らずコードを自動作成できることは大きなメリットですが、意図しないコードが自動生成されてしまうこともあり調整は必要です。
準備が困難な検証も可能
従来型開発では、検証のための実機やさまざまな環境を用意する必要があり、時間やコストがかかります。
モデルベース開発ではシミュレーションにより検証を行えます。また、実際には用意することが難しい条件でも検証可能で、品質向上が期待できます。
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